特殊清掃の料金は3万円から30万円?その相場と正しい業者の選び方を解説
2019.10.11
はじめに
特殊清掃とは、自殺や孤独死など特別な死亡事件が起こった際に部屋や建物を清掃する業務のことです。
特殊清掃は、遺体の処理や匂いのケアなどに関して普通の清掃方法ではできない特殊な作業が必要とされるため、非常に専門性の高い業務といえます。
多くの人にとって、自殺や孤独死の現場に自分が関わることは滅多にないため、特殊清掃を実際に利用する機会はあまり多くないかもしれません。
しかし、いつ非常事態に遭遇するかはわかりませんから、いざ利用するときのために料金相場や依頼方法などの知識は持っておきたいもの。
今回は、特殊清掃に必要な料金の相場や正しい業者の選び方などを解説していきます。いざとなったときのために備えて正しい情報を得ておきましょう。
特殊清掃とは?
特殊清掃の作業には、基本的な汚れ落としや消臭のほか、害虫駆除や遺品整理などがあります。
遺体から生じる匂いは通常の清掃では落とせないため、特別な手袋や脱臭剤、薬品などを使って匂いを落とす必要があります。
体液が壁や家具につくことがあるので、徹底的に清掃していきます。また、遺体から出る体液や匂いは害虫を発生させる原因となるので、害虫駆除も特殊清掃の重要な仕事の一つです。
さらに、故人の持ち物だった遺品を整理することも特殊清掃の業務です。家具などについた汚れを落とし、正常な状態で返還することが重要です。
その他、どうしても汚れや匂いが落ちない箇所は部分的にリフォームをするなど、さまざまな業務が行われます。
特殊清掃は自分でできるか?
これらの作業は専門的な知識を持ったプロに依頼するのが一般的です。
というのも、素人が特殊清掃の作業をやろうとすると必ず失敗する理由があるからです。まず、腐敗液は少しでも物に付着するとすぐに広がり、匂いが広まってしまうのです。
靴下や手袋についた液が他の部屋についたら、部屋中が匂いまみれになります。マンションの壁や床などに汚れを移してしまったら、最悪の場合は損害賠償を請求されかねません。
賃貸住宅の場合、大家の側からすれば適切に処理して部屋をもとの状態に戻して欲しいと思っているので、匂いや汚れの程度に関わらず専門の業者に頼んでもらいたいはずです。
自分で手袋や薬品を使って処理すると言っても納得してもらえないでしょう。
通常の清掃業者では消臭ができない
特殊清掃を専門の業者に依頼しなければならないもう一つの理由としては、通常の清掃業者では特殊清掃で扱うような現場の処理ができないということがあります。
私たちが想像している以上に特殊清掃の技術は高度かつ専門的なのです。
ハウスクリーニングや便利屋のように部屋の掃除を頼める業者は数多くありますが、遺体の消臭や汚れ落としに関するノウハウは全くと言っていいほどないので、素人が掃除をするのに等しい仕事しかできません。事後処理をなるべく安く済ませようと思って安価な清掃業者に依頼しても、徒労に終わることは見えています。
確かに特殊清掃の業者よりは通常の清掃業者のほうが依頼料金は安く済むかもしれませんが、匂いの問題は解決せずに結局は専門の業者に頼むことになり、最終的なコストは高くついてしまうでしょう。
特殊清掃の料金の相場は?
特殊清掃にかかる料金は部屋の間取りや作業時間、依頼の内容によって変わってきます。おおよその目安として、消臭や害虫駆除などの諸々の作業を一通り行う場合、ワンルームの部屋で3時間の特殊清掃をすると6万円程度の料金がかかるのが一般的です。
床上清掃やオゾン脱臭など他にもさまざまな作業が必要となりますし、遺体の状況や死後の経過日数などによって清掃業務にかかる労力も変わるので、上記の料金相場はあくまで目安程度に考えておいてください。
実際に業者に依頼する場合は、事前に連絡して見積もりをとっておくと安心です。
リフォームやオゾン脱臭などの特殊な処理を施す場合には大幅に料金が上乗せされることもあり、リフォームを大々的に行う際は高い場合で100万円前後にのぼるケースもあります。
どれくらいの原状回復を目指すのかも事前に検討しておくとよいでしょう。
特殊清掃の事例(料金)①
実際に特殊清掃を依頼した場合の事例を見てみましょう。
ユニットバストイレでの孤独死のケースです。死後5日が経過しており、部屋の間取りはワンルームでした。主に行われた作業内容は消臭とオゾン脱臭、浴室清掃です。
作業時間は1時間半で、消臭にかかった時間は4時間、動員された作業員の人数は2名でした。
この場合、作業総額は6万円でした。死後あまり時間が経っておらず、さほど特殊な作業も必要としなかったのでおおよそ相場通りの料金といえるでしょう。
特殊清掃の事例(料金)②
次に、台所で孤独死した人のケースを見てみます。
この事例では死後3週間が経過しており、部屋の間取りは先ほどと違って1DKでした。通常必要な床上清掃と消臭に加え、害虫駆除の業務も必要となりました。
さらに、家具などの汚れを取り除く遺品整理も必要となったので、3時間分の遺品整理のための作業料金が6万円かかっています。特殊清掃の作業時間は4時間、消臭のために48時間がかかりました。
遺品整理の作業料金と合わせて、総額は12万円とやや割高になりました。
特殊清掃を行う流れは?
実際の特殊清掃で行われる業務はこれまでに紹介したような内容です。これらの作業を順に行っていくことになります。まずは基本的な清掃作業として、手袋をつけて血液や体液、腐敗物などから発される匂いや汚れを除菌によって取り除き原状回復していきます。
この段階ではまだ匂いが残っている状態なので、血液の匂いを特殊な脱臭剤や機材を使って取り除く消臭作業を別に行わなければなりません。
この作業によって、もともとの匂いを98%ほど取り除くことができます。また、現場の清掃ができたら遺品整理の作業として、手袋を着用して故人が遺した物を整理します。
貴重品と不用品を分別するだけでなく、遺品についた汚れや匂いを取り除き、保管できる状態に復帰させるのです。さらに、体液や血液が床に浸透している場合は清掃だけでは取り除ききれないので、部分的なリフォームなどのアフターフォローの作業を行うこともあります。
これらの作業によって、死亡事故・事件のあった部屋を再び住める環境に戻していくのです。
特殊清掃の料金が高い3つの理由
先ほども解説したように、特殊清掃の料金は通常の清掃業務と比べても大幅に高くついています。
その理由としては大きく3つが挙げられます。
- 高い人件費がかかること。
- 特殊清掃のために必要な専用の薬剤が高くつくこと
- 遺品整理や処分のために別途コストがあること
です。順を追って説明していきましょう。
特殊清掃の料金が高い理由1.人件費が必ずかかるから
特殊清掃は担い手の少ない仕事です。遺体に関わる仕事で恐怖感を伴うこともあるので、志願する人が少ないのです。特殊清掃の業務に就いても1週間程度で辞めてしまう新人も多くいます。一人前の清掃員になるためには何年も経験を技術やコツを磨いていく必要がありますが、そこに至るまで特殊清掃の仕事を続けられる人は一握りしかいないのが現状です。そのような状況のため、必然的に人件費は高くなります。また、技術を身につけるために半年から2年ほどの教育が必要となり、その過程で教育費用がかさむことも人件費を高騰させている一因といえます。
特殊清掃の料金が高い理由2.特殊清掃専用の薬剤が高いため
これまでの説明でも述べてきましたが、市販されている消臭剤などを使用しても遺体の体液や血液の匂いは取り除けません。当然ながら、専用の薬品を使用することになります。特殊清掃という特別な業務の性質上、専用の薬品は市販品と比べて製造量が非常に少ないため、価格も非常に高価になっています。そのほかにも機材や手袋など専用の用具が多く、これらの費用を賄うために特殊清掃の料金は高くなっています。
特殊清掃の料金が高い理由3.遺品を整理、処分するのにコストがかかるから
遺品整理は他の業務と比べて手軽に済みそうにも思えますが、実際にはそれなりに労力の必要な業務です。まず、手袋を着用してタンスや引き出し、棚、小物入れ、冷蔵庫など至るところに入っているものを出して整理したり、書類関係を全て確認して整理したりしなければなりません。その上で、全ての品物を確認して貴重品や思い出の品があるかどうかをチェックしなければならないのです。不用品を回収することが目的の廃品回収業者とは異なり、故人の所有物を整理する必要がありますから、かなりの手間と労力が必要とされる仕事なのです。
特殊清掃は想像を絶する匂いと戦う大変な仕事
実際に遺体を目の前にして見ないと想像がつかないかもしれませんが、特殊清掃業者は常に強烈な匂いと戦いながら作業をしています。また、作業は常に手袋を着用して行いますが、手袋を着用していても手袋越しに液体の汚れが体につくこともあり、とても過酷な業務です。そのため基本的に誰もやりたがらず、担い手が不足している状況なのです。
特殊清掃のボッタクリ業者を選ばない方法は?
特殊清掃の業者選びには細心の注意が必要です。一見安価でサービスが良いように見える会社でも実際には高い料金を取られる、いわゆる「ボッタクリ」の被害が起こりうるからです。一例としては、料金表記に「~円から」などと書かれている場合には注意してください。最低の金額を表示しているだけで、依頼してから途方もない高額の料金を請求されてしまうケースがあります。また、「総額」という文言が入っていない場合、色々なサービスを別項目で勝手に追加されて、最終的に法外な額を請求されることもあります。依頼する前に業者に問い合わせて、無料で見積もりができる場合は総額の見積もりをしてもらうのが確実です。
安い=良い業者とは限らないので注意を
特殊清掃は安いからといって必ずしも良い業者とは限りません。
先ほどの解説で、特殊清掃の費用が高い原因として人件費の高さを挙げましたが、たとえば経験の浅いアルバイトばかりに作業を任せていれば人件費が浮くため、全体の費用も安くなります。
しかし、スキルや経験のない作業員では匂いを十分に取り除くことができず、結果的に再度別の業者に依頼することになります。
費用の安さだけを見て業者を選ぶのではなく、事前の見積もりの段階で相手が誠実に作業をしてくれる業者かどうかを見極めて、信頼できる会社に特殊清掃を依頼するようにしましょう。
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