グリーフケアって具体的に何をするの?知っておくべき症状の事例と3つの方法
2019.11.09
はじめに
身近な存在や大切な人、かけがえのない関係を失った時に人は深い悲しみに囚われます。その大切な方と過ごした時間が長いほど、思いが強いほど喪失感は大きくなることでしょう。
もし身近な人や友人が現在そういった悲しみに暮れた状態にあるとしたら、その辛い気持ちをどうにかして和らげてあげたいと思う方も少なくないはずです。
遺族に寄り添って死別による喪失感や悲しみを和らげて、少しずつ心の回復を図るにはグリーフケアが重要な役割を担います。
この記事では
- グリーフケアの意味
- グリーフケアが必要な3つの症状
- グリーフケアの具体的な方法
について解説していきます。
グリーフケアとは?意味は?
グリーフケアとはパートナーや家族・親類、友人やペットなど親しい人との死別を体験し、悲しみや落ち込み・罪責感など悲嘆が溢れた日々を過ごしている人に寄り添うことを意味します。
悲嘆(Grief)に明け暮れる人の世話(Care)をして、心身の不調を整え深い悲しみの感情から立ち直らせることを指します。
このように英語の名称を付けられていると資格を持った専門職にしかできないように錯覚してしまいますが、実は医療関係者や精神科医・カウンセラーの他に家族や親族、友人・知人といった一般人も行うことができます。
グリーフケアが必要な3つの症状
身体に現れた疾患や外傷などの症状をケアするには見極めが必要であるのと同様に、精神的なもの・心のケアも施す前に状況判断が必要です。
グリーフケアが必要な事例は大きく3つに分けると
- 身体的な症状
- 情動的な症状
- 行動的な症状
となります。
3つのうちのいずれか、もしくは複数個の条件が満たされている場合はグリーフケアが必要となります。
ここからは1つずつの症状の特徴を把握して、見極める際の参考にしてください。
グリーフケアが必要な症状1.身体的な症状
身体的な症状については、具体的には睡眠障害や食欲減退などが具体例として挙げられます。
また睡眠が十分にとれないことに連動して疲労感が蓄積していたり、慢性的な倦怠感が見られるなど身体の健康状態に影響する現象・事象が中心です。
グリーフケアが必要な症状2.情動的な症状
喪失感から来る激しい悲しみや怒りといった、大きな感情の動きが該当します。
生前にできなかったことに対する罪悪感や孤独感、そこから副次的に生まれる無気力感も同様です。加えて抑うつや不安などの、もやもやとした心のわだかまりも当てはまります。
グリーフケアが必要な症状3.行動的な症状
心が落ち着かない状態であるがゆえに、その動揺が行動に表れている段階です。
混乱・錯乱状態はもちろん、目の前の事象に集中できなかったり注意力が散漫になったりという状態も情動的症状に含まれます。
心の落ち着きを求めて、探索行動に出るケースもあります。
グリーフケアの具体的な方法は?
実はグリーフケアは心のケアをするという性質上、固定された方法がある訳ではありません。
人によって悲しみを感じるポイントや度合いが異なるように、立ち直る方法や要する期間もさまざまだからです。言い換えれば、グリーフケアは人の数とその悲しみの数に比例して存在するとも言えますね。
お通夜や葬儀の際に無理に悲しみの感情を押し込める人が居れば、後からでも良いので死と向き合って気持ちを吐き出させる場を設けるのであればそれは立派なグリーフケアの1つです。
故人との思い出の地を巡って心を慰めたり、遺品を加工して常に持ち歩けるアクセサリーにするといった行為もグリーフケアに該当します。
グリーフケアを方法を実際に行う人たち
実際にグリーフケアを実施する人員としては、圧倒的に家族・親族など遺族が多い傾向にあります。次いで友人や知人、恩師もしくは反対の立場である生徒など近しい関係の人々が多いです。
続いて病院・医師など医療関係者や精神科医、カウンセラーなどが挙げられます。
お通夜など葬儀を行う関係者や、儀礼を執り行うお寺や神社関連の宗教家も該当します。地方自治体が無料で解説している相談所や相談員も、グリーフケアを行う機関の1つです。
グリーフケアアドバイザーという資格
葬儀関係者やカウンセラーなど専門家の中には、より質の高いグリーフケアを行って多くの人を救いたいと考え、グリーフケアアドバイザーの資格を所持している方もいます。
日本グリーフケア協会が主宰であり、認定講座を受けて資格を取得することが可能です。
ケアに必要な基本的な知識を学んだり、ケアを実践するにあたって必要な技術や方法を修得することができます。それぞれ2級・1級・特級といったランクに分かれており、相応の講座を受けることとなります。
サイトはコチラ➡日本グリーフケア協会
グリーフカウンセラーという資格も
グリーフカウンセリング・センターにて実施されている講座を受けることで、取得できる資格の1つです。講座を通して知識を身につけて喪失感を乗り越えたり、他者を支援する力を備えることが目的です。
死別による喪失とグリーフに関してより詳しく系統的に学習して、基礎・上級からトレーニングコースといったようにステップアップして行き最終的に資格が与えられます。資格取得とは別に、短期で受講できるワークショップが用意されている点も魅力的です。
サイトはコチラ➡グリーフカウンセリング・センター
グリーフケア3つステップの理解する
大切な人の心に寄り添い癒すグリーフケアを適切に行うためには、対象となる人物がどのような症状を抱えてどんな風に進展していくかを理解する必要があります。
ここではいくつかあるステップのうち、主要となる3つの段階を把握しましょう。
無感覚になり不安定になる
身近な人と死別するというショッキングな体験の重みは計り知れず、現実感を失ってしまう方も少なくありません。
茫然自失になったり、無感覚の状態に陥ります。現実として受け止めようにも脳の処理が追いつかずに、感情が不安定になる方も多いです。
突然泣き出したり、急激に落ち込んだりといったように感情の起伏が激しくなるのが特徴です。
無気力になってしまう
死別という非日常的な出来事がその身に降りかかり、それを現実のものとして把握できるようになるまでの時間は個人差があるものの、多くは脳や感情が咀嚼および処理をします。
こうやって何とか死を受け入れることができたら、次は無気力な状態が続くようになるのが特徴です。
自身の人生に対する価値や、日常生活を送る意味を見出しにくくなります。
活力が復活してくる
悲しい出来事のショックに耐えて、月日や人との交流を経て心の傷が和らいだ状態です。
大切な人の死を乗り越えて、新たな人生を歩み出し再び人や社会と関われるようになります。
自分の意志で活動的に色んなことに取り組めるようになったり、再びチャレンジしたいと思えるようになったらこのステップに至れたと判断して良いでしょう。
グリーフヘアのポイント(自分が遺族になった場合)
グリーフケアは家族や友人だけでなく、自身が遺族となった際にも活用できる知識・技術です。
大切な存在を失った時にどういう気持ちになるのか、どんな症状に見舞われて現在どの段階にいるのかなど自身を分析することができます。
感情の揺れや気持ちの浮き沈みが決して異常なものではないこと、周囲の人に的確に説明できるため効果的に傷を癒せることなど利点は多いです。
全て自分の力だけで克服する必要はないこと、むしろ人の助けを借りた方が良いことを深く認識しておきましょう。
グリーフケアのポイント1.悲しむことを抑え込まない
慎ましやかさを美徳とする風潮がある日本人は特に、悲しみや怒りといった感情を表に出さず溜め込みやすいです。男性の場合はなおのこと、世間の目が気になって悲嘆を抑え込む傾向が強くなります。悲嘆の感情はごく自然なものであること、そして悲しむことを肯定して上手く吐き出させることはケアを行う上で非常に大切です。
グリーフケアのポイント2.人が集まる会に参加する
人の温もりは、悲しみの感情を和らげる効果があります。
葬儀の他にお別れ会や偲ぶ会など、故人に思いを馳せる場は死を受け入れる良い機会となることが多いです。こういった儀式を活用することも、グリーフケアを行う上で有効です。
グリーフケアのポイント3.カウンセリングを受ける
もし家族や友人だけではグリーフケアの効果が十分得られない場合、カウンセラーに相談するという方法もあります。
グリーフケアに明るい、専門的な知識を有した相談員が所属する機関に訪れて解消しましょう。また死別経験者が集まる団体に赴いて、同じ体験を持つ者同士で傷を癒すという方法も有効です。
グリーフケアを専門家から受けると費用は?
専門家によるカウンセリングを受ける場合、民間であれば費用が発生します。
料金の設定は相談員や事務所などによってさまざまですが、時間ごとに区切って値段が付けられていることが多いです。
たとえば60分間相談すれば8,000円、90分の相談であれば12,000円といったように面談の時間に応じて値段が変動していきます。
カウンセラーによっては、パートナーや家族が同席してカウンセリングを受けられる場合もあります。その時料金は1人分で良いのか、それとも2人分必要なのかどうかは確認しておきましょう。
本当に専門家かどうか検討する必要があり
グリーフケア専門のカウンセラーやアドバイザーは、そういった事例に対するケアに長けているため非常に高い効果が期待できます。
その代わり時間ごとに料金が発生するため、利用する前にしっかりと費用や相談する内容を検討しておくことも大切です。
また、本当にグリーフケアの知識がある専門家なのかという事も確認する必要があります。
グリーフケアは自分自身を取り戻すために大切
日常的に起こることではない上に、唐突に失われる出来事であるため前もって心の準備をしておくのは難しいです。
どんな感情の動きがあり、それによって現れる症状がどんなものかをしっかりと把握しておくことで身近な人へのグリーフケアがより効果的なものへと昇華します。
もちろん正しく適切なグリーフケアを理解していれば、いざ自身が遺族となった時に的確に対処でき周りに助けを求めることができるでしょう。
喪失感や悲しみが生まれるのは決して悪いことではなく、ゆっくりと受け止めて自分自身を取り戻して行くことが大切です。
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