遺産分割でよくあるトラブルとその対処法
2022.06.28
遺産分割や遺産相続では様々なパターンのトラブルが発生します。
相続財産の全体像がわからない
被相続人が亡くなった時点で有する資産・債務は、すべて相続財産となります。
遺産分割を正しく行うには、相続財産としてどのような資産・債務があるのかについて、正しく把握することがとても大切です。
しかし、被相続人から資産・債務の内容を聞いていない場合は、相続人が相続財産の全体像を把握することは難しいです。
また一部の相続人が相続財産を管理しているために、他の相続人は相続財産の全体像がよくわからない、という事態も考えられます。
対処法
相続財産の全体像が不明である場合は、弁護士に相続財産の調査を依頼することをお勧めします。
弁護士は依頼者からのヒアリングに加え、過去の遺産相続に関する経験も踏まえたうえで、どのような資産・債務が残っているか当たりを付けながら調査を行います。
弁護士の経験を活用することで、相続財産の全体像を、より正しく把握することに繋がるでしょう。
不動産に関するトラブル
土地などの不動産のように、「分けられない資産」や「評価が難しい資産」が遺産として残されたケースは最も遺産相続トラブルになりやすいものと言えます。
- 現実に分割して分けることが難しい
- いくらと評価するかについて話し合いがまとまらない
- 売ってお金に換えたい人、単独で取得してそのまま住み続けたい人
- 単独名義とするために他の相続人の協力が得られない など
トラブルの種になりそうなことが多くあります。
対処法
分割方法の種類を確認しておくことです。
土地を分割する方法としては、
- 土地をそのまま分ける「現物分割」
- 土地を売却してお金に換金して分割する「換価分割」
- 家を相続した人が他の相続人に金銭で払う「代償分割」
- 相続人みんなで共有する「共有分割」
などがあります。被相続人となる親としては、誰にどのような資産を託したいのか。その意思を遺言書として残しておくのがトラブルを回避するためには有効でしょう。
相続人に遺産を独り占めしようとする人がいる
相続人の1人が遺産を独り占めしようとしている場合、遺産分割協議が進みません。
そのため、調停を申し立て、それでもまとまらない場合には、最終的には審判に進まざるをえなくなります。そうすると、長期間にわたって遺産分割に悩まされることになります。また、相続人間の仲も修復不可能になってしまう可能性が高くなってしまいます。
対処法
生前に遺言書を作成しておくことをおすすめします。
その際には、後に遺留分侵害額請求をされることのないように、遺留分に配慮した遺言内容とするよう注意が必要です。
親の介護など面倒をみてきた相続人がいる
親と同居していた相続人がいる場合、その相続人は親の介護をしていたり、家業を手伝っていたりすることが多く、その分自分の相続分を増やしてほしいと考えている場合があります。
一方で、他の相続人は、親のために介護や家業を手伝うのは当然であると考え、親の介護や家業の手伝いをしていた相続人の相続分を増やし、自分の相続分を減らすことに納得しないことがあります。
このようなトラブルはよく発生します。
この問題を法的には「寄与分」と言いますが、まずは寄与分を認めるかという点について争われ、その後、寄与分を認めるというところまで合意しても、どの程度と評価するかというところでさらに揉めてしまい、最終的な結論が出るまで非常に長い時間がかかってしまうこともあります。
対処法
親が生前に遺言書を作成しておくことをおすすめします。
同居する相続人の相続分を多くしたい場合にはその旨の、同居する相続人とその他の相続人とで相続分を変えたくない場合には法定相続分どおりに分割する内容の遺言にしておきます。同居する相続人の相続分を多くする旨の遺言書を作成する際は、他の相続人の遺留分を侵害しないように注意しましょう。
なお、被相続人の親族で被相続人に対して無償で療養看護するなどして労務提供したことによって被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をしたときには、その親族は相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求できる「特別寄与料」という制度が別途存在します(民法1050条)。
お悩みを相談するなら
遺産分割や相続のことなら弁護士さんに依頼することをおすすめします。
また、遺品整理のことでお悩みがありましたら私たち「遺品整理の窓口」にご相談ください。
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