分かりやすく解説!空き家対策特別措置法ってなに?固定資産税が6倍に!?
2019.10.29
はじめに
空き家の問題は地方だけではなく、都心部にも広がっています。
相続する人がいなかったり、相続しても遠方に住んでいるので住む人がいない場合が多くためです。
そういった空き家が様々なトラブルを招くこともあり、自治体などでも苦慮しています。
そういった状況を改善しようと誕生したのが制定されたのが空き家対策特別措置法です。
この記事では
- 空き家対策特別措置法の中身や空き家の認定基準
- 空き家対策特別措置法に関する条例や問題点
- 空き家の活用方法や罰金、解体費用の補助金
について紹介をしていきます。
空き家対策特別措置法とは
空き家対策特別措置法とは空き家問題が深刻化するのを受けて2015年に施行された法律です。
空き家を放置しておくと様々なトラブルが発生する恐れがあるので、この法律によって問題のある空き家を「特定空家等」に認定します。
空き家対策特別措置法によって「特定空家等」に認定された空き家については、行政が所有者に対して修繕を指導したり、勧告・命令を行うことができる法律です。
場合によっては解体工事を行うなど撤去を命じることもできます。
空き家対策特別措置法が示している「特定空家等」の基準はこの4つ
空き家対策特別措置法では、「特定空家等」に認定する基準を定めてあります。
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより 著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために 放置することが不適切である状態
出典:国土交通省
「特定空家等」は上記4つの基準で認定されます。それではひとつずつについて紹介します。
特定空家等の基準1.倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
人が誰も住んでおらず、劣化が著しく進んで倒壊の恐れがある場合や危険が生じるリスクがある場合には「特定空家等」に認定されます。
住宅が倒壊する際にたまたま通りかかった人が巻き込まれてしまう恐れもありますし、割れたガラスや崩れた外壁が周辺に飛び散って隣の家に被害が及ぶ恐れもあります。
日本は地震が多い国なので、地震による倒壊も問題点として挙げられます。
特定空家等の基準2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態
衛生面に問題点があると判断された場合には「特定空家等」に認定されることもあります。
例えば、ごみの不法投棄場所にされていたり、排水口が詰まって悪臭を発していたりするといったことが挙げられます。
野生動物が住み着いて、糞や尿の被害が生じることもあります。
特定空家等の基準3.適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
景観とは見た目のことですが雑草が生い茂っていたりゴミが散乱していたりすると著しく景観が損なわれてしまいます。
そういった空き家があることで、ここに住みたいと思う人が減ってしまうということもあります。
特定空家等の基準4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
空き家が長年放置されていると、そこに浮浪者や犯罪者が住み着いてしまうことがあります。
犯罪の温床として使われ、地域の治安の低下を引き起こすことにもなりかねません。そういった可能性のある空き家は「特定空家等」に認定されることがあります。
空き家対策特別措置法の条例
適切な管理が行われていない空き家は防災上や衛生上、景観などで地域住民の生活に悪影響を及ぼしています。
そこで地域の住民の生活環境を守るために、空き家を活用して行こうという条例が全国各地の自治体で誕生しました。
現在では400以上もの自治体が空き家条例を制定しています。
空き家対策特別措置法により固定資産税が最大で6倍になる問題点
空き家対策特別措置法は空き家が引き起こす様々な問題を解決するのに有効な法律ですが、実は問題点も指摘されています。
空き家対策特別措置法の最大の問題点として挙げられるのは、固定資産税が跳ね上がってしまうことです。
固定資産税は所有している土地に対して納める税金ですが、住宅用の土地には特例措置があります。
住宅用の土地の場合には、一定の条件を満たせば通常の固定資産税の6分の1の金額に減額してもらうことができます。
「特定空家等」に認定されると特例措置を受けられないので、納める税金額が大幅に高くなってしまうのです。
空き家の活用方法を把握する必要がある
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、空き家をそのまま放置しておくことが難しくなりました。ですから引っ越し等で所有している住宅に住まなくなった場合には、早めに売却したり賃貸に出すなど活用方法を検討しておく必要があります。
空き家対策特別措置法の罰金について
「特定空家等」に認定されうる問題点が見つかった場合には、行政の立ち入り調査や指導を受ける必要があります。
調査を拒否することはできず、もし調査を妨害した場合には罰金を支払わなければなりません。
市町村長の命令に違反した場合には50万円以下、立ち入り調査を拒否した場合には20万円以下の罰金がかせられます。
また、撤去命令に従わない場合には、所有者に代わって行政が解体工事を行う行政代執行が行われることもあります。
行政代執行の費用は所有者の負担となり、支払わない場合には財産の差し押さえも行われます。
空き家の解体費用が補助される?
空き家の問題点には解体費用が捻出できないこともあります。
そのため空き家の問題点を解消するために、自治体によっては補助金制度を設けている事例もみられます。
文京区の場合には、上限200万円までの解体費用の補助金を受け取れる制度が設けられています。
それから買い手や借り手が見つからないというのも空き家の問題点ですが、文京区には解体後の跡地を無償で借り上げるという措置もあります。
空き家を清潔にするサービスを利用する
所有している住宅が「特定空家等」に認定されてしまうと、固定資産税の負担が大きくのしかかります。
そこで活用したいのが、空き家を巡回してくれるサービスや清掃を行ってくれるサービス等です。
相続した空き家があるけれど、遠方に住んでいるのでなかなか自分では手入れが出来ないという時に便利なサービスになります。
近隣に住む方々に迷惑をかける心配もありませんし、何か異常があればすぐに知らせてもらえます。
空き家対策特別措置法を把握する
親が所有している住宅を将来受け継ぐ予定だけれど自分はそこに住まないという時には、その住宅が空き家になってしまう恐れがあります。
資産価値はどの程度あるのかや売却できるのかなども把握しておくのがおすすめです。早めに活用する方法を見つけるようにしましょう。
また、空き家対策特別措置法についてもきちんと把握しておくことが大切です。
「特定空家等」に認定されると、固定資産税の支払いが住宅用の6倍になってしまうこともあります。
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