初めて相続破棄を行う時にスムーズに行う方法とは?
2022.06.28
家族が死亡し遺産を受け継ぐか迷っている・・・
プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多いため遺産を受け継ぎたくない・・・
などこのように考えており、初めて相続破棄を行おうと考えている人に向けて知っておくべきことを共有します。
相続破棄とは?
相続権を持つ法定相続人が、被相続人の残した財産の一切の相続を拒否することです。
「一切の相続を拒否する」ということは、相続財産のなかのプラスの財産(現金や不動産)とマイナスの財産(借金など)の両方を一切受け取らないということを意味します。
一般的には、相続財産のなかでプラスの相続財産よりもマイナスの相続財産の方が多いことがはっきりしており、相続人が借金などの不利益を被ることが明らかな場合に相続放棄を検討します。
ほかにも「相続争いに関わりたくない」という場合なども相続放棄を検討した方が良いかもしれません。
相続放棄の手続きが可能な期間は3カ月
相続放棄ができる期間は、被相続人が亡くなってから(相続の開始を知ってから)3カ月です。期限内に申述書を家庭裁判所に提出しなければなりません。
日常生活を送りながら手続きを進めようと思うと、決して余裕のある期間ではありません。
手続きに不備があったり、書類を集めるのに手間がかかったりということも考えられます。状況によっては、被相続人が亡くなってすぐに動き始めたのに、3カ月以内に相続放棄の手続きができないという可能性もあります。
3カ月以上かかりそうな場合は、延長の手続きをすることで、期間を延ばすことができます。
3カ月以上かかりそうな場合
3カ月以内に手続きが終わらないケースとして考えられるのが、財産調査が困難で相続放棄するかの判断に迷う、被相続人の本籍地が遠方で戸籍謄本などを集めるのに時間がかかっている、などです。
こういったやむをえない事情から、相続放棄の手続きに3カ月以上かかりそうな状況であれば、「相続放棄のための申述期間伸長の申請」を家庭裁判所に行うことで、手続きの期間を延長することができます。
この期間延長の手続きも、被相続人が亡くなってから(相続の開始を知ってから)3カ月以内に申し立てを行う必要があります。この手続きにもさまざまな必要書類がありますが、入手不可能な戸籍などがある場合は、申立後の追加提出も可能です。
3カ月を過ぎてしまった場合
3カ月を過ぎてしまってからの相続放棄は原則としてできません。しかし、事情によっては放棄が認められる可能性もあります。
ただ、期間が過ぎてからの相続放棄申し立ては、非常に難易度の高い手続きとなります。基本的に弁護士に相談が必要です。
相続破棄のメリット
相続放棄のメリットは相続によって相続人が不利益を被ることを防げる点です。
相続で財産が得られると思っていたのに、被相続人が残した借金を肩代わりすることになってしまっては、その後の人生設計に狂いが生じてしまうでしょう。
また、遺産分割などの相続人同士の争いに巻き込まれることがないというのも相続放棄のメリットです。
相続破棄のデメリット
一方、相続放棄のデメリットは、財産調査を十分に行っていない段階で相続放棄すると損をしてしまう可能性がある点です。
「相続をしてもデメリットしかない」と考えて相続放棄をした場合、後になってプラスの相続財産が見つかったとしても相続は受けられません。
また、相続放棄をすることで相続人が変わってしまうというのもデメリットかもしれません。相続放棄によってマイナスの財産が移行するため、他の相続人にしわ寄せがいくということもあるでしょう。
このように相続放棄にはメリットとデメリットがあるため、相続放棄するかどうか判断する際は被相続人の財産調査が非常に重要です。
限定承認制度の検討
プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかはっきりしない場合は、限定承認制度の利用を検討しても良いでしょう。
限定承認制度とは、「相続を受けた人がプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ」という制度です。
この制度を利用することで、万が一マイナスの財産がプラスの財産より多い場合でも、引き継ぐマイナスの財産はプラスの財産の範囲内に抑えることができます。
ただし注意点として、この制度はすべての相続人が共同で行わなければいけません。さらに、清算手続きが必要などの制限があるというデメリットもあります。
限定承認の条件
限定承認も相続放棄と同じく、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
つまり、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、限定承認は行うことができません。このように使い勝手が極めて悪いため、限定承認が行われているケースは少ないのが実情です。
相続放棄すると撤回はできない
一度、家庭裁判所によって相続放棄が認められると、基本的に撤回することはできません。借金が多いので放棄したがプラス財産のほうが多かった、手続きがめんどうで放棄したが気が変わった、などの理由では撤回できませんので注意してください。
家庭裁判所に放棄が認められる前であれば取り下げることは可能なので、もし気が変わったら早めに申し出ましょう。
また、脅されたりだまされたりといった理由で相続放棄せざるをえなかった場合や、未成年の人が法定代理人の同意なく放棄した場合などは、取り消しが認められることもあります。
相続放棄しても受け取れるものがある
相続放棄をすれば遺産は一切受け取れません。しかし、相続を放棄していても受け取れる可能性のあるお金があります。
- 死亡保険金
- 死亡退職金
- 遺族年金
などです。
ただし、すべて無条件で受け取れるわけではありません。
死亡保険金や死亡退職金は、契約時に決めた、あるいは規定に示されている「受取人」が重要です。受取人が亡くなった方本人になっていると相続財産とみなされてしまいます。この場合、相続放棄すると受け取れない、もしくは受け取ると単純承認を認めたことになる恐れがあります。
また、死亡保険金や死亡退職金を受け取ると、たとえ相続放棄していても相続税がかかります。通常の相続であれば、相続人には非課税限度額が設定されていて相続税が減額されますが、相続放棄した人の場合、これは適用されません。
遺族年金は、亡くなった方が国民年金または厚生年金の被保険者(であった)場合に、被保険者によって生計を維持されていた遺族に支給されます。
よくわからない場合は相談を
相続に関する知識が必要なため、相続に強い弁護士に相談することと
仮に相続する場合は相続税の節税のため税理士に相談することをおすすめします。
また、遺品整理のことでお悩みがありましたら私たち「遺品整理の窓口」にご相談ください。
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