【禅問答とは】その意味や例文3つを実際に紹介!(2020年最新版)
2020.03.03
はじめに
禅問答という言葉を聞いたことはありますか?
聞いたことはあるけれど、
- 禅問答とは何なのか
- 禅問答の詳しい意味
- 禅問答の例文について
などはあまり知られていません。
一般的には意味がわからない会話をしていることを示唆しているのですが、禅問答にはちゃんとした誕生の由来や意味があります。
今回は禅問答について説明していきます。
禅問答とは
禅問答はプロ棋士たちが指す将棋に似ています。
プロ棋士たちは渾身の一手を指すため、相手の10手先やさらに先まで読んでおり、少し将棋の心得がある人でもその一手が意味するものが理解できません。
しかし、そこには駒の動きに隠されたいくつもの筋書きが隠れており、それを読み取った方が勝者となります。
禅僧たちが行っていた問答には、そういった奥深い意味を瞬時かつ的確に把握できる能力が求められていたのです。
禅問答とは?意味について
禅問答とは何かを広義に解釈すると、師匠と弟子の間で交わされる悟りに関する言葉のやり取りです。
禅問答とは師匠が疑問を弟子に投げ、その疑問に対して答えた会話集のようなものです。
しかし、それは紀元前のブッダの時代から行われていたことであり、
より狭義に定義すれば、禅宗に関する悟りに関する問答と換言することができます。
禅宗とは、大乗仏教の一派で日本では鎌倉時代に伝えられた臨済宗と曹洞宗が有名で、
江戸時代には黄檗宗が残っており、いずれも座禅を用いて修行が行われます。
禅問答はどうして誕生したのか?
禅問答とは禅僧たちの問答であったと捉えると、日本では11世紀頃に盛んになったと考えられています。
その契機となったのは、「景徳伝灯録」という書物が編纂されたことです。
景徳伝灯録とは1701名にものぼる禅僧の名前を列挙し、彼らの逸話・説法・問答などが記録された書物です。
この書物が、禅僧たちの修行テキストのような性格になっていったことが誕生のきっかけとなり盛んになっていきました。
参考記事はこちら→景徳伝灯録とは
禅問答の例文3つ
これまで「禅問答とは」ということで誕生からその意味することまでをおおまかに述べてきましたが、ここでいくつか禅問答の例文を紹介します。
禅宗はその修行に座禅を取り入れていることから、対話だけではなく具体的に目にして会得するという手法であったことにも留意しながら見ていきます。
禅問答の例文1.風になびく旗
風になびく旗を見ながら、ふたりの僧が言い争っていました。
ひとりの僧が「旗が動いている」と言うと、もうひとりは「違う。風が動いている」と言います。
そこを通りかかった3人目の僧は「あなたたちの心が揺れ動いているのだ」と言います。
これは哲学的ですが、いずれの主張もそれぞれの見方として尊重すべきものです。
風になびく旗とは、物事は見方を変えることで、思わぬ示唆が得られることを示しています。
禅問答の例文2.柏の木
達磨とは禅宗の開祖とされているインドの僧侶です。
ある僧が趙州に「達磨がインドから中国に来て伝えようとした心は何ですか」と尋ねます。
すると趙州は「庭先にある柏の木だ」と答えますが、僧は理解出来ず「例えは辞めてください」と再び同じ質問をします。
しかし、返ってくる解答は同じく「庭先にある柏の木だ」でした。
仏教とは、すべてのものに仏性が宿ると考えられており、庭先の柏の木にも宿っていることを趙州は伝えたかったのです。
情報や物が溢れる今の時代、自ら動かなくても何でも文字だけなら知ることができます。
しかし、それでは、大事なことを見落としていませんかと現代人への警告になる問答です。
禅問答の例文3.狗子仏性
狗子とは「犬」のことです。
仏性とは解脱する能力のことです。つまり、この問答は犬にも解脱する能力があるか否かに焦点が当てられています。
ある禅僧が和尚に「犬にも仏性はありますか」と尋ねると、和尚は「ない」と答え、理由は「犬は自分に仏性があることを知らないからだ」と答えます。
自分の胸の内に秘められた能力は、自覚する心が無ければ無いのと同じなのだということを示唆しています。
禅問答の本おすすめ
さらに詳しくいろいろな禅問答を知りたいという方々におすすめの本を紹介します。
1冊目は、山田史生著の「はじめての禅問答(光文社新書)」です。
禅の入門書としてわかりやすいだけでなく、興味深い問答がピックアップされており、読み物としても面白く仕上がっています。
続いて紹介するのは、南直哉著の「自分をみつめる禅問答(角川ソフィア文庫)」です。
これは禅の入門書としてだけではなく、自分に当てはめて考えさせてくれるため、心の励みの一冊となるかもしれません。
本はこちら→はじめての禅問答
禅問答の解答へ辿り着く方法
禅問答の解釈は有識者の間でも意見が分かれており、解答をひとつに絞り込む必要はありません。
禅問答とは何かを明確にすることにあまり意味はありません。
広い視野で物事を捉えることが解答に辿り着く方法のひとつです。
自分には受け入れられなくても、それを受け入れる器量の広さが求められます。
また、哲学に触れてみることも方法のひとつです。
お金や実益を生み出す学問ではありませんが、自分の考え方や物事の捉え方を変える助けとなり、クリエイティブな発想力が身につきます。
禅問答まとめ
禅の基本にあるのは、すべてのものには仏性があるということであり、達磨もそれを伝えたかったのです。
凝り固まってパターン化された思考過程では、そこに何も新しいものは生まれません。
もっと視野を広くし、さまざまな意見も拒絶せず受け入れ、その上で自分なりの解答に辿り着くことが、便利で進化の時代であるからこそ求められるものです。
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