【形見分け】現金で代用することもOK。その場合の相続税・贈与税はいくらかかる!?
2019.11.02
形見分けとはどんなことをするのか
形見分けは国内で伝統的に行われてきた風習の一つです。
相続の際に行う遺産分割とはまた別物で、遺産分けをした後に故人が生前、使っていた愛用の品々を親しい間柄の人、友人・知人に配っていくのが形見分けです。
現代においては少々事情が変わってきており、故人愛用の品々を貰い受ける方が存在しないケースも増えてきました。
また耳慣れない風習ですので、何を分配すれば良いのかや現金を対象にしても大丈夫なのかなど、悩んでしまうケースもあるようです。
形見分けを行う際には、現金を使って良いのかや各種マナーなど、ポイントを押さえてから実施するようにしましょう。
形見分けで現金を贈ることはOK?
本来は物品を分配していくものですが、代わりに現金を贈ることはできなくはありません。
形見分けは『物を絶対に贈らないといけない。』と言った決まりはないため、どうしても配れる物がない時には金銭を渡すこともできます。
ただし本来の形から外れるので、個人の考えや地域の風習を考えると相応しくない可能性はあります。なお相続放棄などの法的ルールにも絡んでくるので、現金を渡す時は慎重に考えるのがおすすめです。
形見分けを受け取る側は現金を要求できるのか?
受け取る側が「物じゃなく現金が良い」と要求したとしても、通常は法律上の不都合はありません。ただし、エチケット上は好ましくないので、行うべきではないでしょう。
故人や遺族の意向として現金を渡したい時に、受け取るようにしたいものです。
なお脅迫したり、限度を超えて執拗に金品を要求すると犯罪行為になってくるので注意が必要です。
特に強要罪は金銭の要求だけではなく、何かをさせようとすると該当し得るため、無理強いはしないように気をつけて下さい。
形見分けで現金を贈る場合の包装方法
現金を渡す際には常識ですが、お札をそのまま渡すのは厳禁です。きちんと包装しておくことが大切ですが、形見分けの場合には包み方や表書きに注意を要します。
まず包装には白無地の封筒を使うのが一般的と考えられます。白い紙で代用することも可能です。水引は一般的にはかけません。
表書きは仏式ですと「遺品」とし、神式なら「偲び草」あるいは「偲ぶ草」と記します。また金銭だけだと味気ないので、簡単な手紙を添えてあげるのも良いものです。
形見分けで現金を贈った場合の贈与税は?
金銭的に価値があるものを贈る場合に気をつけたいのが贈与税です。一般的な形見分けでは発生する可能性は高くありませんが、一定の金額を超えてくる時には注意を要します。
まず対象になってくるのは110万を超える金額の贈与です。年間で110万円なので別に贈与を受けていたり、併せて物品を貰っている時にも課税されえます。
課税された場合には110万を超える部分を、受け取る側が支払うのが決まりです。税率は原則は10%からとなっており、例えば150万円の贈与ですと40万円にだけ10%の課税がされて納付額は基本、4万円となります。
結論としてはほとんどのケースで贈与税は発生せず、課税対象になっても数万円程度で落ち着くことが多いです。
形見分けで現金を贈った場合の相続税は?
相続税も発生する可能性はありますが、確率はかなり限定的と言えるでしょう。
まず相続税と言う名称ですが、厳密には法定相続人以外に受け取った方に発生してくるのが特徴です。
形見分けが遺贈とみなされた場合は、友人・知人であっても対象になってきます。ただし課税対象となってくるのは数千万円クラスの遺産がある時だけです。
基本3000万円に加えて、相続人一人あたり600万円の控除枠があります。例えば相続人が3人ですと、4800万円までは課税されません。
これだけの遺産を残すケースは稀なので、形見分けの際に相続税が問題になることは少ないでしょう。逆に資産が一億円と言うようなレベルでは節税対策が欠かせなくなってくるので、税理士への相談がおすすめです。
形見分けの本来の意味とは
形見分けは伝統的に故人の供養を主な目的として行われてきたと言えます。故人愛用の物品を生前、縁のあった方々に譲ることが本来の形です。
こうすることで形見を受け取った方に、故人の思い偲んでもらえば供養に繋がってくると考えられます。また日本古来からの精神として、ものを無駄にしないと言う考え方の影響も受けているようです。
しかし近年は従来と異なり、色々な物品がすぐに手に入るので、物品を譲り受けても喜ばしいと感じられず、逆に扱いに困ってしまうこともあるようです。
このような事情の変化を受けて、現在は現金を使って形見分けをする機会が増加傾向にあります。手軽さで言っても現金は便利なのですが、贈る場合には幾つか注意点があるので、気をつけて下さい、
形見分けで現金を贈る場合の注意点
形見分けを現金で行う習慣は広がっているようですが、思わぬところで問題が生じる可能性があるので注意が欠かせません。
受け取る側に嫌な思いをさせたり、迷惑をかけないために気をつけたいポイントを押さえておきましょう。
形見分けの注意点1.無理に形見分けを押し付けない
特に遺言などで現金を贈りたいとの故人の意向がある時には、遺族からするとなんとか受け取って欲しいと考えるものです。
しかし中には現金ですと受け取りたがらない方もなくはありません。そのような場合は無理に押し付けようとするのは、好ましくはありません。
故人の思いを考えると、相手を困らせる意図はないはずですから、相手方が辞退した場合にはその意思を尊重してあげたいものです。
形見分けの注意点2.相続人としっかり話し合う
形見分けは故人の遺産を分配していくものですが、その前提として法定相続分には気をつけなければなりません。相続分は誰にいくら渡すべきかが法律で決まっているのです。
このために一人が他の相続人の分まで勝手に形見分けで配るようなことがあれば、法律的に問題が生じます。他の相続人はもちろん、裁判などになると受け取った側にも迷惑がかかりかねません。
このトラブルを防ぐためには、予め相続人同士でキチンと話し合って、相続分や形見分けについて明確にしおくことが大切です。
形見分けの注意点3.税金を理解しておく。
一定規模の遺産を譲る場合には贈与税・相続税など各種税金の支払いが必要になってくる場合があります。
結果的に相手側に迷惑をかけてしまうこともあるので、事前にしっかりとチェックしておくことが大切です。
とは言っても税制度はしっかりと把握するのは困難を極めるので、贈与額が大きい場合や遺産がある程度あるケースですと税理士への相談がおすすめできます。
特にうっかり無申告にしてしまうと、後から追徴課税が発生してトラブルになることがあるので、慎重に検討しておきたいものです。
形見分けを渡す時期は決まってる?
形見分けを実施する際には、いつ行えば良いのか悩んでしまうことも多いものです。
時期については宗教や地域によって風習の違いもあるようですが、法的なルールは決まっていません。下記を目安に好きな時期に行うことができます。
形見分けを渡す時期1.仏式の場合は四十九日が目安
仏式の場合には四十九日の法要が済んで、忌が明けたら形見分けを行っていくのが一般的です。
四十九日で故人の魂は御仏のもとに召されると考えられていますから、丁度良いタイミングとなります。
逆に四十九日が済むまでは忌中となりますから、この期間は形見分けをするのは好ましくはないと言う考えがあるようです。
ただし考え方は宗派や寺社によって変わってくる可能性がありますので、葬儀の際や法要の際に、僧侶などに相談しておくと安心です。中には三十五日で忌明けとするようなケースもあります。
形見分けを渡す時期2.神道で行う場合は五十日祭が多い。
神道で行う場合では三十日祭か五十日祭のいずれかで実施するケースが一般的となります。
特に神道において忌明けに相当する、五十日祭で行うことが多いようです。
五十日祭は清祓いの儀を行うなどして、一区切りつくタイミングとなるので形見分けにも適しています。こちらも仏式同様、地域や宗派によって考え方が変わる可能性があるため、事前に問い合わせておくのがおすすめできます。
形見分けを渡す時期3.キリスト教の場合の場合は一ヶ月後のミサが目安。
キリスト教においては形見分けと言う、日本古来の伝統等はほとんど馴染みがありません。
このために宗教上のルールとして、いつ実施するのが好ましいかについては定まっていないようです。
それではいつ実施するのが好ましいかですが、基本的に逝去後一ヶ月で行われる、追悼ミサや記念会を目安にすることができます。
昇天記念日なので丁度相応しいタイミングと言えますが、これも教派によって異なる可能性があるため、事前確認が好ましいです。
形見分けの時期は誰に渡す?友人も?
形見分けをする相手は、故人の近親者や友人・知人などの親しい間柄にある人物が対象範囲となってきます。
具体的に誰を選ぶかは故人の意向があれば、それに沿う形が好ましいですし、なければ遺族側が決めていくと良いでしょう。
ここで注意点が一つあり、目上の方への贈与については慎重に考えたいものです。現在は目上の方に形見を譲るケースもままありますが、本来は好ましくないと考えられてきたため、場合によっては失礼にあたる可能性があります。
このために目上の方に贈る時には、一言お詫びの手紙を入れるなどして工夫していくのがおすすめです。
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