行政代執行には要注意!空き家を放置しておくと数百万円を請求されることも!
2023.05.23
はじめに
今や社会問題となってきているのが空き家問題です。
これを受けて平成26年11月には、空家等対策特別措置法が成立することに成りました。
これは空き家を特定空き家に認定すれば、建物所有者が何らの処置も講じなかった時に、行政が行政代執行と呼ばれる処分を行えると言うものです。
この記事を読むことで
- 行政代執行ってどんな制度なのか。
- 行政代執行ではいくら請求されることになるのか。
- 行政代執行が行われるのを防ぐ方法。
といったことを知ることが出来ます。
行政代執行とは
行政による強制的な処置の一つが行政代執行です。
これは何らかの義務を課されたもの(義務者)が、自らのすべきことをしなかった場合、行政が代わりになって強制的に目的を達成しようと言うものです。
空家の場合では、持ち主がすべきことをしなかった際には、まずは行政が何らかの改善命令を出して、それに従わなかった時に強制的に撤去するような形となります。
そして後から執行費用を請求してきますので、現在においては空き家の放置は危険なのです。
NPO法人空き家・空地管理センターのホームぺージには以下のように記載されています。
行政代執行とは、所有者に代わり、行政が適正管理に向けた取り組みを行うことです。道路に越境している木の枝を切ったり、放置されているゴミを撤去したり、倒壊しそうな家屋を解体したりすることができます。何度も改善を要求しているにも関わらず所有者が対応してくれない場合、行政が強制的に敷地に立ち入り、必要な対策を取るというものです。
行政代執行の要件とは
行政代執行は法律に基づいて実施されます。
以下の3つの要件が法定されているので確認しておきましょう。
- 義務者による義務の不履行がある。
- 他の手段による義務履行が困難。
- 不履行を見過ごせば著しく公益を損なう。
公益に損なうという部分で行政代執行法により、特定空家等は執行(罰則)を受けることとなります。
行政代執行にかかる費用は所有者が払う
行政代執行制度の気をつけたいポイントは、公共機関が代わりに作業してくれるけれど、その費用は所有者が払う点にあります。
処理してくれるだけならありがたいですが、きっちりその費用が請求されるのが恐ろしいところです。
つまり、所有者の都合で空き家に手を付けられない時でも、役所の方が勝手に建築業者などを手配して改修や解体を行い、その後料金を要求してくるということです。
一度着手されると費用はかかってきますので、その前に対策をすることが重要です。
行政代執行の費用は国税滞納と同じ方法で徴収される。
お金の徴収はかなり厳格に行われます。
その手段は何と「国税滞納処分の例による」と言うものです。国税の処分も同様に強制措置が可能となっています。
具体的には税金を滞納した際と同じで、督促状が届き予告通知がなされ、その通知を無視し放っておくと、権力行使によって財産を調査されます。
その後、差し押さえを行って費用を回収していくのです。実例を見ても差し押さえ・公売で費用回収しているケースが目立ちます。
行政代執行にかかる費用はどのくらい?
国土交通省によると
周辺の生活環境等に悪影響を及ぼす「特定空家等」について、助言・指導、勧告等の措置の件数は年々増えており、平成30年度末までに市区町村長が助言・指導15,586件を行ったもののうち、勧告を行ったものは922件、命令を行ったものは111件、代執行(行政代執行と略式代執行)を行ったものは165件でした。
といった2019年6月のデータがあります。
また費用(金額)に関しては、安い執行でも20万円から65万円程度が請求されるとのことです。
気をつけたい部分としてはこれはあくまでも最低水準であり、実際にはより高額な請求がなされることが多い点です。
実例を見てみると100万円から400万円程度が要求されたケースが多々見当たります。更に高額になってくると、流石に稀ではありますが1,000万円を超えたケースもあります。
行政代執行が実際に行われた事例
北海道旭川市では管理不全になっている空き家があると通報があり、老朽化した建物の撤去が行われました。
このケースでは持ち主が再三の働きかけに応じず、そのままでは積雪による倒壊の危険があったため、建物除却の行政代執行が行われました。
費用は410万円となっており、差押えとその公売によって賄われる予定です。
千葉県柏市では法人の事業者が放置していた建物が対象となりました。
一般市民だけではなく、会社などに対しても適応がある制度と言うことになります。
このケースでは鉄骨造3階建ての建物が崩落を始めていたことから、請求費用も高額となり、1,040万円が請求される結果となりました。差押えと公売で費用が回収されています。
空き家(ゴミ屋敷)の所有者が分からない場合は行政代執行は誰が払う?
所有者が不明の場合も行政代執行を行うことができると言うのが、空き家対策特別措置法の決まりです。
このケースでは一応、登記簿などで持ち主探しはしますが、それでも駄目だった時には行政機関が費用負担することになるでしょう。
所有者がすでに亡くなっていた場合
現状の登記制度では、持ち主が死亡した時の相続登記は義務付けられていません。
したがって所有者が亡くなった後、名義が書き換えられていない建物が少なくなく、社会問題となってきました。
相続登記による名義変更がないため、誰が今の持ち主なのかわからないことがしばしばあるのです。
相続人が名乗り出てくれれば良いのですが、厄介な空き家がある時には、これは全く期待できないでしょう。
そこで役所の方も重い腰を上げて相続人を探すことになるものの、これが一筋縄では行かないことが多いです
。数次相続と言って、何度も所有者が死亡しているケースや、逝去してから数十年も経っているような場合では完全にお手上げになってしまいかねません。
その場合は結局、費用は行政サイドが持つことになってきます。
所有者が不明の場合
空き家の中には所有者の行方が知れないケースが少なくありません。
このような場合には費用を請求すべき相手が見つからず、役所が手続きに二の足を踏むと困るので、ここで略式代執行と呼ばれる制度が利用できることに成りました。
実際に所在社不明のケースでは略式代執行が行われている事例が多数となってきています。
空き家に関しては所有者の高齢化だけではなく、持ち主自体が判明しないことが増えてきている問題点が感じられるでしょう。
ところで気になるのは費用の回収についてです。持ち主がわからないのなら作業料金は誰が払うのかですが、やはり持ち主が確定できない以上、市町村の負担となってきます。
行政代執行を避けるための対策は?
行政代執行を避けるためには
- 空き家そのものを処分してしまう
- 管理不全の状態を作らないこと
が大切です。
まず空き家の処分ですが、解体してしまうか売り払ってしまうことで根本的に問題を解決できます。
そもそも建物があるから問題になるわけですので、先手を打とうと言う考え方です。
老朽化が著しいと売却は難しいかも知れませんが、現在は専門的に空き家を買取っている業者もあるので、確認してみるのも悪くありません。
次に管理不全を回避する方法ですが、こちらは崩落や倒壊などの危険がないよう手入れをしていこうと言うものです。通報されたりして問題になるのは、家が傾いていたり倒壊を始めているようなケースが多くなっています。
このために予め建物を健全な状態に保つように、メンテナンスしておけば行政代執行の危険性は防ぐことができるはずです。
行政代執行が行われる前に必ず対応を
行政代執行は一旦実施されると、多額の費用も必要となりますし近隣の住民とのトラブルも心配です。
問題が大きくなる前にできる対策についてしっかりと講じていくことが大切。特にゴミや遺品が溢れていて、手がつけられないような時には遺品整理業者を使うのがおすすめです。
ゴミ屋敷についても空き家と同じように代執行の対象となりえますので、危険性を感じたら早めに対策していきましょう。
特に行政の方から改善要請が届いた時には、そのまま放っておくと大事になるので、早めの段階で対応していきたいものです。
遺品整理業者については比較サイトなどを利用すると、評判の良いサービスを見つけやすくなります。
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